永遠の大女優・原節子さん「お嬢さん乾杯」
先日、原節子さんがお亡くなりになりました。
なんだか昭和がどんどん遠くなっていくようです。
御冥福をお祈りします。
原節子さんの訃報を聞いて、今観たいな、と思っているのが木下恵介監督の映画「お嬢さん乾杯」
何年か前、NHKのBSプレミアムで放送されていたのを観たのですが、すごくよかったのです。
没落して金銭的に困窮している上流階級の令嬢と、成金の青年がお見合いするお話。
少女漫画によくありますよね、こういうの。没落華族のお嬢様と成金青年実業家との縁組話。波津彬子さんとかうまいんだ、この手の話。
ちなみにこのコミックスに入っている ↓「橋姫」というお話が好き。
で、この映画「お嬢さん乾杯」は原節子さんの主演ということで、何だかちょっと真面目な予感がしていました。
子どもの頃から少女漫画で何回も読んだ大好物な設定。悲劇もコメディーも得意な木下監督ですが、ちょっとやそっとじゃ納得しないぞと思って観始めたところ…。
すごく楽しくて面白かった。しかも89分という短さ!
相手役の青年が関口宏のお父さん・佐野周二さん(ゴツイのに妙に母性本能をくすぐる)、その弟分が中井貴一のお父さん・佐田啓二さん(カッコイイ!)。
ウィットに富んだセリフがいっぱいで、笑えて、キュンと切なくて、ホロリとして、はらはらした末にハッピーエンド。
例えて言うなら、月9でドラマに出来そうな楽しいストーリー。
そして、アラサー原節子の美しく可愛くいじらしいことといったらもう…もう…。
あせってズッコケるシーンまであるんですよ、笑っちゃいました。
このドタバタ愉快な映画は、原さんが生涯の名コンビとなった小津安二郎監督と初めて組んだ「晩春」と同じ年に撮っているのですが、このまま「お嬢さん乾杯」の路線に行っていたら映画の歴史はどうなっていたのかなあ…なんてことも考えます。
ちょっと話は変わりますが、今から30年程前、鹿児島市の東千石町あたりにプラザ80・120という映画館がありました。
その名のとおり、80席と120席の小さな映画館で、週替わりで古い名画やちょっととんがったヨーロッパ映画とかやってて、時々観に行ってました。
その頃私が好きだったのはロマンティックコメディー。
フランク・キャプラの「或る夜の出来事」とかビリー・ワイルダーの「昼下がりの情事」「アパートの鍵貸します」、それにこれはビデオでしか観てないけどハワード・ホークスの「教授と美女」等々。
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「はあ~(ため息)、こんなおしゃれで楽しいラブコメディー、日本映画じゃ無いもんね」とうっとりしていたのに、あったのですね、こんなに楽しい映画が!
しかも主演原節子で‼
嬉しすぎる!
ここからちょっとネタバレ。
先ほど月9っぽい、ロマンティックコメディー、と書きましたが共通点が結構あるような気がします。
・主人公2人を取り囲む個性的な家族や友人達が登場。
・行きつけのお店で、恋の進展に仲間と一喜一憂。
・身近な友人(兄弟)の恋愛と自分の恋愛を比べてあれこれ考えたり。
・元彼の話がでてきてモヤモヤしたり。
・最後、周囲の励ましやお節介で自分の気持ちに気付き、旅立とうとする相手を追いかける。
…等々、バブル時代のドラマの原型っぽい。
成金青年が初めて観た(であろう)クラシックバレエに感動して涙するシーンなんて、「プリティウーマン」のジュリア・ロバーツを思いだしました。
「お嬢さん乾杯」は「プリティウーマン」より40年以上も前の映画なんですよね…
う~ん、古い映画、侮れません‼
あ~、また観たくなっちゃいました。NHKのBSでやってくれないかな~。