高倉健さんが訪れた鹿児島市城山の喫茶店「プルーン」を探して
10年以上前、いつもユニークな芸を楽しみにしているタレントの清水ミチコさんが、週刊誌の「私の好きな映画」特集で、1位に高倉健さん主演の「新幹線大爆破」(1975年公開)を挙げていた。
ずいぶん昔の作品だし、パニック映画にはさほど興味もなかったけれど、清水ミチコさんが好きでCDを買ったりコンサートにも行ったりしていたので、「とりあえず見とくか!」と思い、レンタルビデオ屋さん(本当に当時はビデオだった)で借りて観てみたら…
もんのすごく面白かった。びっくりした。
昔、日曜洋画劇場で観たハリウッド製のパニック映画に全然ひけをとらない! てか、むしろずっとすごい‼
ストーリーにぐんぐん引き込まれる上に、オールスター映画で志村喬とか宇津井健とか千葉真一とか、配役がゴージャス。
そして何より健さんがいい!とてつもなく格好よかった‼
映画を見て3日くらいは「健さんのためなら死ねる」と思った。
そんな私が「城山の喫茶店に健さんが来たらしい」という噂を聞いて、そのお店まで出かけたことがある。
年配の穏やかなご夫婦が切り盛りしている、こじんまりとした居心地のいいお店で、どっしりとした木を多用したインテリア。カウンターのほかにテーブルが3卓ほど。
でも、本当にごくごく普通の住宅街。
城山と言っても美術館付近ではなく、城山団地の方面で、看板がなければ普通の家にも見える外観。団地の中の細い道沿いで、大通りでもなんでもない。
通りすがりにふらっと…という立地ではなかった。
実際、その後も何回か行ったけれど、途中で迷ってしまい、優しいご主人に携帯で連絡したら、道まで出てきてくれて出迎えられたこともある。
「高倉健さん来たんですか?」とはミーハーみたいで(ミーハーだけど)、なかなか聞けなかった。
でも、3回くらい通った際に思い切って伺ってみたら、健さんは本当に来店していた。
しかも、その時私がいたテーブル席に座られたと聞いて、ものすごく嬉しかった。何でも、映画「ホタル」(2001年公開)の撮影のころ、「コーヒーが飲みたい」ということで、地元の方にココを教えてもらってわざわざ脚を運ばれたらしい。
やっぱり…知らなきゃ来れないよねこの場所は。
静かだし落ち着くし、さぞ、ゆっくりされたのではないかしらん、と健さんのことを考えた。
そして先日、健さんが亡くなったニュースを聞いてショックを受け、記憶を頼りにお店を探したけれど、見つからなかった。
「プルーン」を最後に訪れたのは、もう数年前。
ご夫婦ももうご高齢なのだろう。お店は知らないうちに閉められていた。残念だなあ…
ご主人は「城山展望台で朝のラジオ体操をした帰りに寄ってくれる常連さんがいるから早くから開店している」とおっしゃっていて、いいなあ…そういうの…とあこがれてたんだけど。
私もいつか城山でラジオ体操してからコーヒー飲みに行きたいと思ってたんだけど…
もっと行っとけばよかったなあ。
ご夫婦、お元気でいらしたらいいなあ…と思っていた。
そうしたら…
今日20日の南日本新聞にご主人が! 写真入りで掲載されてる‼
高倉健さんのことで取材されていた。
お店は閉められたみたいだけど、お元気そうだ…よかった。
新聞を読みながらホッとすると同時に、健さんのやすらかな眠りを祈る朝でした。
※ 一年後、念願かなって「新幹線大爆破」をスクリーンで観ることができました。
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