こたつでぬくぬくワイルダーとルビッチ三昧
寒い…寒くてつい家の中でゴロゴロしがちな今日この頃。
外出するの億劫だから、家の中で映画のDVDでも観ようかなと思って調べていたら、ビリー・ワイルダー(1906~2002)とエルンスト・ルビッチ(1892~1947)の監督作品を色々見つけました。
観たかったの〜‼︎ この二人の監督作品が。
今から30年程前、鹿児島市の東千石町にあった「プラザ80・120」という小さな映画館で、よく古い名画を上映していました。
時々通っていましたが、私がそこで大好きになったのがビリー・ワイルダー監督の作品。
「麗しのサブリナ」「昼下りの情事」「アパートの鍵貸します」等、もともと好きなジャンルであるロマンチックコメディーの作品にうっとりし、アガサ・クリスティー原作のミステリー「情婦」のラストどんでん返しに驚愕。
ハリウッドの内幕を描いた「サンセット大通り」でゾゾ~っとした後、ラブコメディー「お熱いのがお好き」ではマリリン・モンローのキュートさにしびれ、女装したジャック・レモンにお腹がよじれるほど大笑い。
どんなジャンルでも、面白い。
すごい!と感動しました。
で、その頃何かの本で知ったのがビリー・ワイルダーにはエルンスト・ルビッチという師匠がいたということ。
当時レンタルビデオ屋さんにも時々通っていて、両監督の作品を探したものです。
ワイルダーは何本か観ましたが、ルビッチはグレタ・ガルボの「ニノチカ」しか見つからなくて他の作品も観たいなあと思っていました。
でも、よく考えてみたら当時でさえルビッチの没後40年!だったんですよね…そら無いかも。
それが…それが…あれから30年、今こんなにDVDが出ていることにびっくり。
もっと早く気づけばよかった。
早速観てみた。
そしたら「これって、アレに似てない?」というか……あ、こっちが古いんだから逆か!
「これはアレの元ネタ?」
みたいなのがいくつかあったので並べてみました。
以下はネタバレ満載なので、これから見ようと思っている方はタイトルだけちらっと見て、通り過ぎちゃってください。
まずは ビリー・ワイルダー。
1942年ハリウッド初進出作品。
都会での仕事に失望し、田舎に帰ろうとするヒロイン、ジンジャー・ロジャース。
しかし運賃が値上がりしていてお金が足りない!
12歳の少女に変装して子ども料金で列車に乗り込み、出会った少佐に何かと助けてもらうが…というお話。
ラブコメディー・モノクロ映画ということと、半世紀以上前の作品ということで、強引な設定も結構無理なく受け入れてしまった。
ヒロインが少佐のことを好きになる過程とか、少佐が12歳だと思っているヒロインが、男子学生達にモテモテでなんとなく気になってしまう感じとかが、笑いを誘いながらも微妙な匙加減で描かれていて、こういうとこ丁寧だから強引な設定にもあまり違和感を感じなかったのかも。
主演のジンジャー・ロジャースといえば、当時フレッド・アステアとのミュージカルで既に有名だったはずですが、この作品でもちょっとだけタップダンスを披露するシーンがあってわくわく。
隠れてタバコを吸うシーンでバレないかしらとハラハラしたり、少佐の婚約者登場でキュンとしたりの101分。
上映時間が短いとこも気に入りました。
なんか、ドリュー・バリモアの「25年目のキス」思い出しちゃった。
25歳の新聞記者が取材のために高校生に化けて高校に潜入するお話。この映画も大好き ↓
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次はエルンスト・ルビッチ監督、ビリー・ワイルダー(とチャールズ・ブラケット)脚本の「青髭八人目の妻」↓
この映画は「デパートにパジャマの上だけを買いに来た男と、パジャマの下だけを買いに来た女」が出会うところから始まります。
このシーンは、ワイルダーの発想の豊かさを示すエピソードとして本で紹介されているのを読んだことがあって、「ええっ、どういう事?なんで上だけ?なんで女性が紳士用パジャマの下だけ?」とすごく不思議に思ってた。詳しく知りたかったの。
なので今回長年の疑問が解けてよかった!
ゲーリー・クーパーは「パジャマの下を着るヤツなんているのか⁉ 上だけ売ってくれ」という強引な男。困った店員が店長にお伺いをたてて、店長は上司にお伺いをたて、上司は社長に電話で指示を仰いだところ、電話を取るために寝室のベッドから出てきた社長もパジャマの上しか着ていない!というオチ。
結局クーパーと店員が揉めているところへ「パジャマの下だけ欲しい」女性クローデット・コルベール登場。
クーパーはキュートなコルベールに興味を持つものの、紳士物のパジャマを買いに来たことから身持ちの悪い女だと誤解してその場は何事もなく別れます。
冒頭のシーンからふたりが再会するまでの流れもよかったな。
ホテルの手違いで、老紳士がベッドでお休み中の部屋に通されたクーパー。
ベッドから出てきた老紳士のパジャマの下を見てびっくり。
老紳士は貧乏貴族で、娘が節約の為にパジャマの下だけ買ってきてくれたという訳。
よくある漫画やドラマだと、ぶつかった相手が転校生とか、お店や乗り物でトラブった相手と仕事先で再会…なんてのが定番ですが、出会いや再会のシーンもひとひねりしてあるのが憎いな。
ちなみにこの「上だけ買いたい、下だけ買いたい」のシーンは、NHKドラマの 「ガラスの家」で見かけました。
こちらはパジャマではなくてスウェットパーカーの上下。
デパートで斎藤工と井川遥(初対面)がそれぞれ片方を欲しがり、二人で上下1セットの商品を分けあって購入。のちに二人は息子と若き継母という立場で再会して、「あ、あの時の!」という流れ。
脚本の人がワイルダーのファンだったのかなあ?
最後はルビッチの「街角 桃色の店」。
身元を明かさず 文通していて好意を抱いていた相手が同じ店で働いている同僚だったというお話。
私、こういう設定が好きで。
ノーラ・エフロンが監督と脚本を務めた「ユー・ガット・メール」はメール相手がライバル店の経営者同士という設定。
どちらの作品も男性側が先に相手の正体に気づくのですが…
ジェームズ・ステュアートもトム・ハンクスも誠実そうな感じが似てるな。
絶対女性をだませそうにないタイプなのでなかなか自分の正体を告白しなくても、安心して観ていられます。
これらのDVDは実家にもっていって80代の母親と観ました。
今の80代って若いころ洋画を一杯観てて、字幕もへっちゃら。
俳優にも詳しくて、ゲーリー・クーパーやらジェームズ・ステュアートやら懐かしがってくれました。
朝ドラに出てた俳優の名前はすぐ忘れるのに、昔の俳優のことは忘れてないんですよね。不思議。
ワイルダーやルビッチの映画って不道徳な話が結構でてくるんだけど、親と観てても全然気まずくならない。「クックッ…」と堂々と笑えるのが多いのも安心。
なんでだろ、不道徳でも表現に品がある…のかな? その辺の手腕は凄いと思う。
あと、展開というか話のテンポも古い映画だとしっくりくるみたいでどの映画も最後まで楽しんで観てくれたので、ちょっと親孝行した気分。
年末年始、今度は何を観ようかな、楽しみです。