柳家 喬太郎の独演会に行ってきた!
今回でなんと7回目の鹿児島での独演会。
やっぱり、私は喬太郎師匠の創作落語が好きだ!と改めて思いました。
演目はこんな感じです ↓
喬太郎師匠は落語家としてのスケールが大きいんでしょうね。
古典も、凄く面白いです。
「綿医者」の患者が腹痛でのたうちまわるシーンや、扇子を使った手術の場面は、ホントにリアルで、見ているこっちも大笑いしながらつい眉間にシワが寄っちゃったし、「へっつい幽霊」の登場人物たちの可笑しなやり取りを聞いていると、ふっと江戸の時代に連れて行かれてしまいます。
でも、でも…師匠は何といってもイマドキのオトーサン、オカーサン、若い男性、そして何と若い女性の真似が抜群に面白いのです‼︎
とりわけ、89キロの体全体を使って(本人が89キロつってたから間違いない)体現する女子は必見です。
まくらで、婚前旅行に向かう前にいちゃいちゃするバカップルや、終電間際の駅で揉めてるカップルを、一人二役で再現していったのですが、ディテールが凄い。
目線や声の高さ、声量、間合い、仕草の指先まで可笑しすぎる。
最後の毒に満ちたコメントも最高。
独演会で披露した3席のうち、「ほんとのこというと」は現代が舞台の創作落語で、家族モノですから、そういった喬太郎師匠の技が冴えわたります。
もう、冒頭の家族紹介の部分から笑いっぱなし。
物語のあらすじは…
結婚の挨拶に男性の実家へ訪れた女性。
両親、弟、妹に温かく迎えられます。
和気あいあいと食事が進みますが、途中でいきなり様子がおかしく…。
「やっぱり結婚できません‼︎ 私、生のナルトを切らずに食べるのが好きなんです!」と思い詰めた様子で告白。
なんだ、そんなこと?と男性の家族は温かく応対し、すぐ“ブランド物”のナルトを買ってきて、かぶりついてみせる。
気に病まないで、と食事は再開されますが、しばらくして再び「私、やっぱり結婚できません‼︎ 実は…」と、新たな秘密を切り出す女性。
それでも「大丈夫、ほらこれでいいでしょう?」と優しく女性に合わせる男性家族。
しかし、さらに女性は「実は…」と切り出してくる。
どんどん大丈夫じゃない告白になってくるのに、能天気に合わせてくる男性家族の対応がブラックで狂気じみてきて、聴いてるこっちがハイになります。
私は、昔読んだ筒井康隆の小説の読後感をちょっと思い出した。
すごく面白かったけど、TVで放映するのは厳しいかも。
師匠も、「あ、客席にお子さんがいらっしゃるのに気づかずに話始めちゃった」とご自分でおっしゃってました。
喬太郎師匠って、私から見ると、すごくまっとうで人の良さそうな感じの方なんですけど(いや、だからこそ?)時折見せるブラックな面が鮮やかなんですよね。
ポスターの師匠の写真をちょっと大きくしてみた ↓ いい人そうでしょ。
しかしよく考えると、TV向きではない演目ということは寄席向きということで、そう考えると得したような気もする独演会なのでした。
来年もお待ちしています。